だから今度は、私がきみを救う番
迎えに来たよ
◇
帰り道は、行きよりもずっと強い風が吹いていた。
自転車を漕ぐたびに向かい風が吹いてきて、私の行く手を阻む。
空はどんよりとしたねずみ色、河川敷の水面も暗い色をしている。
さっき原くんが、『台風が来たら亜季に会えないからヤダ』と言ってくれたのを思い出して、思わず笑みがこぼれた。
あれから三十分くらいずっと抱きしめ合っていて、原くんが眠りかけたから『こらこら』と肩を叩いて起こした。
その時にはもう元の原くんに戻っていて、「ありがとう」とそれだけ言ってくれた。
気がついたら四時を過ぎていたので、今日はそのまま帰ることにした。
五時にはおばあちゃんが帰ってくるからだ。
宿題はだいぶ進められたし、本来の目的は達成できたと思う。