だから今度は、私がきみを救う番
うちのアパートが見えてきたのを確認して、自転車から降りて歩いていく。
その時、打ちの前に誰かいるのが目に入った。
女の人……のように見える。
さらに近づくとその姿が鮮明になってきて、私は身体の動きをとめた。
そこにいたのは、お母さんだった。
「亜季」
目が合って、懐かしい声が聞こえる。
自転車が、ガシャンと音を立てて倒れた。
「お母さん……」
突然現れたお母さんの姿に、どう反応していいか分からなくなる。
嬉しいとか悲しいとか、そういう感情よりも、戸惑う気持ちの方が強かった。