だから今度は、私がきみを救う番
◇
「お母さんね、昼間お父さんと会ってたの」
部屋に入って話そうと提案したのはお母さんだった。
先程まで無人だった部屋は蒸し暑く、私はエアコンのスイッチを入れて、麦茶をふたつ用意してお母さんに差し出した。
お母さんは麦茶をひと口飲むと、ゆっくりと喋りはじめた。
「正式に別れることになったから」
私はお母さんの話を聞きながら、その向かいに座った。
麦茶をひと口啜ると、乾いた喉が潤うのを感じる。
氷がカランと音を立てた。
「そっか……」
さっきたくさん泣いたおかげで、もう涙はでてこない。
両親が別れるという報告を、意外と冷静に受け入れている自分がいる。
「お姉ちゃんは?」
部屋をきょろきょろと見回して、お母さんが言う。
「どっか遊び行ってるみたい。もう三日くらい帰ってきてないけど、そろそろ帰ってくるんじゃないかな」
そう答えると、お母さんは「そう……」と下を向いた。