だから今度は、私がきみを救う番







「お母さんね、昼間お父さんと会ってたの」



部屋に入って話そうと提案したのはお母さんだった。



先程まで無人だった部屋は蒸し暑く、私はエアコンのスイッチを入れて、麦茶をふたつ用意してお母さんに差し出した。

お母さんは麦茶をひと口飲むと、ゆっくりと喋りはじめた。



「正式に別れることになったから」



私はお母さんの話を聞きながら、その向かいに座った。

麦茶をひと口啜ると、乾いた喉が潤うのを感じる。

氷がカランと音を立てた。



「そっか……」



さっきたくさん泣いたおかげで、もう涙はでてこない。

両親が別れるという報告を、意外と冷静に受け入れている自分がいる。



「お姉ちゃんは?」



部屋をきょろきょろと見回して、お母さんが言う。



「どっか遊び行ってるみたい。もう三日くらい帰ってきてないけど、そろそろ帰ってくるんじゃないかな」



そう答えると、お母さんは「そう……」と下を向いた。


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