だから今度は、私がきみを救う番
窓の外では、さっきよりさらに強くなった風が木々を揺らしている。

私はティッシュで目と鼻を拭いて、真っ直ぐお母さんの方を見た。

お母さんも真っ直ぐに私を見ている。



「……お母さんね、亜季のこと迎えに来たの」



お母さんの言葉に、ぴくりと身体が跳ねた。

お母さんはさっきも『迎えに来たよ』と言った。



その言葉を受け入れるのだけでもういっぱいいっぱいで、なんて答えたらいいのか分からない。

お母さんに会えたのは嬉しいけれど、戸惑う気持ちの方が強かった。



「お母さんね、今仙台にいるの。新しい病院で働きはじめて、亜季を呼べる準備が出来たから、迎えに来たの」



お母さんはうちにいた頃、市内にある大きな病院で看護師として働いていた。

きっと新しい場所でも、看護師として働いているのだろう。



それにしても、仙台という地名とお母さんの繋がりが不思議だ。

どうしてそんな遠いところに、ひとりで行ってしまったんだろう。



「仙台?どうしてそんな遠いとこ……」



浮かんできた疑問を、そのまま言葉にする。

するとお母さんは少し頬を赤らめて、まるで少女のような顔をして口を開いた。


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