だから今度は、私がきみを救う番
気がついたら、震える声を絞り出していた。



お母さんは、私たちよりその人の方が大事だったの?

どうして何も言わずに出て行ったの?

どうして私を置いて遠くに行っちゃったの?



「それは違うの。亜季を迎える準備が出来たら、呼びにこようってずっと思ってて」

「じゃあ、なんでその時に連れてってくれなかったの!?」

「それは……ごめんなさい。ねえ、亜季……」



私の口調が自然と強くなって、お母さんが焦った様子で返す。

それが言い訳がましく聞こえて、耳を塞ぎたくなった。



「お母さんとその人と三人で、仙台で暮らしてくれる?」



耳に入ってきた言葉に、一瞬体が固まった。



今、お母さんはなんて言った?



「待って、私だけなの!? お姉ちゃんは!?」

「恵理は……ほら、学校辞めるんでしょう? もう義務教育じゃないんだから、学校を辞めるなら、自分の足で歩いて行ってもらわなきゃ」


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