だから今度は、私がきみを救う番
なにそれ。


きっとお母さんは、お父さんからお姉ちゃんのことを聞いている。

髪を染めて、不良たちとつるんで、学校にも行かずに夜遊びばかりしているお姉ちゃんのことを。

その話を聞いて、私だけ連れて行こうって思ったんだ。

……邪魔なんだ、お姉ちゃんのことが。



心の中を、モヤモヤしたものが占領していく。



「……ごめん。お母さんとは一緒に住めない。」



深く考えることもせず、私はそう答えていた。



ショックだった。

お母さんがあまりにも自分勝手に動いていることが、悲しくてしょうがない。

お姉ちゃんに対する言葉を聞いて、一緒には行けないと思った。



「どうして?」

「お父さん、ちゃんと三者面談来てくれたんだよ。帰ったら声もかけてくれるし、病院だってついてきてくれた。

お姉ちゃんだってあんなだけど、ご飯作ってくれる時もあるよ」



そう。お父さんにもムカつくことはたくさんあるし、そんなんだからお母さんに出ていかれちゃうんだよって思うことも何度もあった。

でも、お父さんは私と向き合ってくれている。

そしてお姉ちゃんとも、向き合おうとしてくれている。



「おばあちゃんももうすぐ施設に入れるし、私たち三人でしっかりやれてるから。だから……」



ごくりと唾を飲んで、すっかり乾いてしまった喉から声を絞り出した。



「私はお父さんと住む」


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