だから今度は、私がきみを救う番
「……ねえ、私が仙台に行っちゃったらどうする?」
お母さんが来た日の夜からずっと考えていたことが、ぽろりと口の端からこぼれた。
フードコートの喧騒の中、私たちふたりがいる空間だけ切り取られたみたいに、しん、と静まる。
原くんの顔を見ると、驚いたような、不安げなような、そんな顔をしていた。
「なんで、仙台?」
「あのね、この前お母さんが帰ってきたの」
台風で避難をしたり、慌てて宿題を進めていたりで、すっかり原くんに話す機会を失っていた。
あの日の出来事を、ひとつずつ彼に説明する。
「それでね、迎えに来たっていきなり言われて。あっ、でも断ったんだよ」
メロンのアイスクリームが、少しずつ溶けていく。
後ろの方で、小学生の集団が騒いでいる声がした。
原くんは黙ったまんまだ。