だから今度は、私がきみを救う番
「今の私にとって、お母さんよりもお父さんの方が信頼できるの。それとね……」
原くんの顔が、ふっと暗くなる。
『不良の原くん』よりも少し幼い、寂しそうな表情に、私の感情も振り回されそうになる。
「この街には、原くんがいるから」
そう言ったら、原くんはますます寂しそうな顔をして笑った。
いち、に、さん。
三秒数えるくらいの間に彼は元通りになって、私の手を握った。
最後にとっておいたメロンのアイスクリームは、でろっと溶けてしまった。
「亜季、なんかおそろいのもん、買おう」
すっかり元通りになって、そんな提案をしてくる原くん。
彼の様子がちょっと違うような気がしたのは、気のせいだと思った。