だから今度は、私がきみを救う番
繋いだ左手にぎゅーっと力を込めて、右腕を彼の背中に回す。

前からぎゅーっと抱きつく格好になって、私は身体に力を入れた。



「ぎゅー、ってしてあげたよ?」

「サンキュー」



原くんに頭をぐしゃぐしゃと撫でられて、身体がかあっと熱くなる。

慣れたふりしても、まだまだ彼の方が上手。

ぎゅーってするの、すごく緊張した。



「じゃ、これにしようか」

「金具の色はどれにする?」

「うーん。赤がいいかな」

「赤、好きなの?」

「赤い糸みたいじゃん」



そんなロマンチックな台詞を吐いて、にこっと笑う原くん。

心臓を撃ち抜かれたみたいに、私は動けなくなった。

ずるい。やっぱり、原くんの方が何枚も上手。


レジの方に進んでいって、勝手に支払ってくれてる辺りすごい上手。
< 160 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop