だから今度は、私がきみを救う番
「二学期になったら、修学旅行だね」
私がぽつりとそう言うと、原くんは黙って頷いた。
「同じ班になれると、いいね」
また原くんが黙ったまま頷く。
その日の原くんは、なんだかいつもより無口だった。
私はお喋りな方じゃないので、しん、とその場が静まり返る。
少し寂しそうな表情に戻った原くんが、先に口を開いた。
「亜季、海に行こう」
「うん?」
「抱えてるもんあるなら、海に向かって叫ぶといいって聞いた」
そう言って、私の手を握って立ち上がる原くん。
その瞳はどこか寂しそうで、でもきらきらと輝いている。
彼の手に引っ張られるようにして走った。
前にもこんなことがあったっけ。
放課後、彼が連れ出してくれた時だ。
こういう風に、引っ張られながら走ったっけ。