だから今度は、私がきみを救う番
「海って、近くで見るとあんま綺麗じゃないね」
私がそう言うと、原くんは「そうだな」と言って遠くを見つめた。
沖には大きな船が浮かんでいて、少しずつ港の方へと近づいている。
たぶんあれは貨物船で、世界のどこかから来た荷物を新しい方の港に運んでいるのだろう。
水平線の向こうには、海よりも少し薄い青をまとった空が広がって、この先は世界中の海と繋がってるんだなって思った。
「さっきさ、亜季の母ちゃんのこと話してくれただろ?」
原くんの金色が、海にうつされた太陽の光のようにきらきらと輝く。
湿気を纏った潮風がそれを揺らして、白く光った。
「うん」
「……溜まってるもんあるなら、ここで吐き出しちゃえば」
「溜まってる……のかな」
「母ちゃんの話してる時の亜季、そういう顔してた」