だから今度は、私がきみを救う番
「ばーか! ばーか!」
「そうだそうだ! 言ってやれ!」
原くんが煽ってくるので、私はもっと叫ぶ。
もう一度大きく「ばーか!」と叫んだら、まるで私が鳴らしたみたいに大きく水面が揺れた。
プーっと汽笛が鳴って、大きな船が新しい港に入って来るのが見える。
きっとあの貨物船が揺らした水面なんだけど、私の想いを波が包んで、遠くに運んでくれそうだなって思った。
「お母さんのばーか!」
「そうだそうだー!」
「私いつも家の手伝いしてるんだぞ! 私偉い! もっと褒めて!」
「亜季は偉いぞー! 毎日頑張ってるぞー!」
「お母さんのばーか! 原くんだーい好き!」
「俺も亜季が好きだー!」
「私の方が好きだー!」