だから今度は、私がきみを救う番



お母さんに向けての気持ちを叫んでいたはずなのに、いつの間にか告白大会になってしまっている。

私が好きだと叫ぶと、握られていた原くんの手が緩んで、彼の顔が真っ赤になった。

一瞬その場がしんと静まって、なぜだか海も凪いでいる。

原くんは右手で真っ赤になった顔を覆って、ぽつりとつぶやいた。



「……ちょっと待って、亜季、俺のこと好きなの?」



予想外の質問すぎて、私は目が点になる。

この人は、何を言っているのだろう。



「へ!? 今さら何言ってんの!?」

「だって、一度も好きって言われたことない」



わー、まじかー、嬉しすぎるしびっくりだわー。

そう聞こえてきて、原くんはますます顔を赤らめる。

いつも自分ばっかり余裕ぶってるくせに。

こんな原くん、はじめて見た。


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