だから今度は、私がきみを救う番



私から指を絡めなおして、ぎゅっと手を握る。

そしてちょっと余裕ぶったふりをして、彼に仕返しをする。



「告白オッケーする理由、好き以外にある?」



斜め上を見上げて、上目づかいで言ってみた。

原くんがもっともっと真っ赤になって、「アリガトウゴザイマス」と小さくつぶやく。

私もなんだか恥ずかしくなって、絡めた手が熱く感じて。



夏の晴れた青空の下、体感温度はたぶん四十度。

海から吹く風は熱風。

一瞬凪いだ水面が、また波打ちはじめる。



「俺は高屋亜季が大好きだ―!」



突然原くんがそんなことを叫びはじめるものだから。



「私は原慶大くんが大好きだー!」



港じゅうに響き渡るほどの、大告白大会になってしまった。

潮の混じった空気にやられて、声はもう枯れてしまいそうだ。
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