だから今度は、私がきみを救う番
土手道の切れ目から、坂道を下ると学校が見えてくる。

一学期とは全く違う気持ちを抱えて校門をくぐった。




二年一組の教室に入ると、小笹さんと丸山さんが「おはよう」と声をかけてくれた。

私も「おはよう」と返して、夏休みの些細な出来事を互いに話した。


新しい学期がはじまった教室の中に、人がどんどん増えていく。

誰かが登校してくるたびに入口のドアをちらちらと見てみたけれど、肝心の人物はなかなか現れない。

今、私がいちばん会いたい人。

いちばん話したい人。

けれども彼の姿は見えないまま五分経って、一〇分経って、とうとう始業の時間が来た。



先生が教室に入ってくるのと同時に、それぞれが自分の席へと戻っていく。

教室にはひとりを除いた全員が揃っている。

私の隣の席。

二年一組でもあさがお五組でも隣にいる、大好きなきみだけがここにいない。


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