だから今度は、私がきみを救う番
「はい。みんな夏休みは楽しめたか? まずはじめに大切なお知らせがあります」
担任の太田先生の声が響く。
どうしてだか胸がざわついて、どくんと音を立てた。
ごくりと唾を飲みこんで、先生の言葉の続きを待つ。
「原のことだが……、」
彼の名前が聞こえて、私の胸はますます速く音を鳴らした。
どくん、どくん。
耳が左胸にくっついてしまったかのように、心臓の音がうるさい。
先生が少しためらいながら、けれどもはっきりと言葉を口にする。
「原は、急なご家庭の都合で転校することになった」