だから今度は、私がきみを救う番







目を覚ますと、白い天井が目に入った。

視線を横にずらすとクリーム色の仕切りカーテンが見えて、ここが保健室のベッドの上だと理解する。

身体を起こそうとしたら、胃の痛みがきりきりと私を襲ってきた。



「高屋さん、目覚めた?」



カーテンが少しだけ開いて、保健室の先生が顔を覗かせる。

意識が途切れる寸前のことを思い出して、同時に彼がもういないという現実も思い出した。

エアコンの風が、仕切りカーテンをゆらゆらと揺らす。

彼の色の抜けた髪が揺れるあの瞬間が好きだったなあなんて、またきみのことを思い出した。



「薬飲む?」



先生の言葉に頷き、痛み止めの錠剤を口に含んだ。

水を手渡され、二錠一気に飲み込む。

薬品っぽい匂いが少しだけ口の中に残って、私は顔をしかめた。



「もう少し休んでおきなさい」

「はい……」

先生のそう促されて、素直にベッドに潜った。

カーテンがきっちり閉められて、またひとりきりの空間に戻る。
< 183 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop