だから今度は、私がきみを救う番
自然と足が動いていた。
二年一組に戻り、鞄を抱えて廊下を走る。
保健室の先生に早退すると伝えて、学校を飛び出した。
校門を抜けて、坂道を上って、土手道を走って。
きみと見たきらきら光る水面を横目に、いつもの道をただ走って。
じりじりと焼きつける太陽に負けないように、汗を拭って。
夏の終わりの風に背中を押されて、無我夢中で走り抜けた。
家に着くと、汗だくの手でスマホを開いた。
原くんよりも先に、二度と連絡するもんかと思った人の連絡先を開く。
十一桁の電話番号を鳴らして、相手が出るのを待った。
プルルルル。電話が繋がる音がする。
「もしもし」
相手の声がすると同時に、叫んでいた。
「お母さん! お願いがあるの!」