だから今度は、私がきみを救う番
電話の相手は、あの台風の前の日、私が追い返したお母さんだ。
『好きな人が出来たらなぁ、追いかけるんやぞ?』
おばあちゃんの言葉が頭の中を往復する。
私はお母さんに向けて、気持ちの全てを伝えた。
好きな人が出来ました。
その人は今、あなたがいる街で闘っています。
私はその人に会いに行きたいです。
でも私はまだ子どもなので、その街に行ける術を知りません。
その街に行く方法を教えて下さい。
お父さんを説得して下さい。
泊まるところを貸して下さい。
会ったらちゃんと帰ります。
好きな人を追いかけたいんです。
お願いします。
一生懸命になって、それを伝えた。