だから今度は、私がきみを救う番



電話の相手は、あの台風の前の日、私が追い返したお母さんだ。



『好きな人が出来たらなぁ、追いかけるんやぞ?』



おばあちゃんの言葉が頭の中を往復する。

私はお母さんに向けて、気持ちの全てを伝えた。





好きな人が出来ました。

その人は今、あなたがいる街で闘っています。

私はその人に会いに行きたいです。

でも私はまだ子どもなので、その街に行ける術を知りません。

その街に行く方法を教えて下さい。

お父さんを説得して下さい。

泊まるところを貸して下さい。

会ったらちゃんと帰ります。

好きな人を追いかけたいんです。

お願いします。


一生懸命になって、それを伝えた。


< 201 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop