だから今度は、私がきみを救う番







病室のドアをノックする。

コンコンと二回連続で叩くと、中から「はい」と懐かしい声が聞こえた。

懐かしいって言ったって、ついこの間まで同じ街に住んでいて、しょっちゅう会っていたんだけど。



すうっと息を吸い込んで、ふーっと吐き出す。

二回、三回と深呼吸をして、私は扉に手をかけた。



「原さん、面会ですよ」



お母さんの同僚であろう看護師さんがそう言って数秒後、「どうぞ」とやさしい声が響く。

ガラっと扉を開けると、ベッドの上に座っている原くんと目が合った。

しん、と静まり返る部屋を背に、看護師さんはナースステーションへと帰っていく。

原くんは目を丸く見開いて、口をぱくぱくと動かしていた。



「なんで……」



「会いに……来ちゃった」



私はえへへ、と笑って、せつない気持ちを押し込めた。



会いたかった。

会いたくてどうしようもなかった。大好きなきみ。

そんなきみが、今目の前にいる。
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