だから今度は、私がきみを救う番
◇
病室のドアをノックする。
コンコンと二回連続で叩くと、中から「はい」と懐かしい声が聞こえた。
懐かしいって言ったって、ついこの間まで同じ街に住んでいて、しょっちゅう会っていたんだけど。
すうっと息を吸い込んで、ふーっと吐き出す。
二回、三回と深呼吸をして、私は扉に手をかけた。
「原さん、面会ですよ」
お母さんの同僚であろう看護師さんがそう言って数秒後、「どうぞ」とやさしい声が響く。
ガラっと扉を開けると、ベッドの上に座っている原くんと目が合った。
しん、と静まり返る部屋を背に、看護師さんはナースステーションへと帰っていく。
原くんは目を丸く見開いて、口をぱくぱくと動かしていた。
「なんで……」
「会いに……来ちゃった」
私はえへへ、と笑って、せつない気持ちを押し込めた。
会いたかった。
会いたくてどうしようもなかった。大好きなきみ。
そんなきみが、今目の前にいる。