だから今度は、私がきみを救う番
「うちのお母さん、仙台で働いてるって行ったでしょう?」
私は扉を閉め、少しずつ原くんの方に歩いていった。
狭い病室では、数歩で彼にたどり着けてしまう。
室内のテーブルの上には、お揃いで買ったクマのチャームが置かれていた。
「ここ、お母さんが働いてる病院なの」
「え!?」
「偶然じゃないよね、きっと」
「……あれ、読んだ?」
「うん。私も本気で信じてるよ。赤い糸」
ベッドの前に立つと、原くんは眉をぐっと寄せて、私の方に倒れ込んできた。
私の腕の中に彼がすぽりと収まる格好になる。
そっと手を回すと、原くんの背中が小刻みに震えているのが分かった。
「移植は?」
「無事に終わったよ。俺は明日には退院出来るって」
「よかった」
原くんが、私の背に手を回して、ぎゅーっとしがみついてくる。
私は彼の頭をゆるりと撫でながら、もう片方の腕で原くんの背中をぎゅっと抱きしめた。