だから今度は、私がきみを救う番
「……前にさ、どっか遠くに行きたいって思うことないか、って聞かれたよな」
先に口を開いたのは原くんだった。
そんなこと、聞いたっけ? と思いながら、記憶の糸を手繰り寄せていく。
ああ、そういえば……。
「そういえば、聞いたかもしれない」
原くんは海をしばらく見つめたあと、私の方を向いた。
目と目が合う。
原くんの金髪が海風に吹かれて、ああ、やっぱり綺麗な色だな、と思った。
原くんが、目を細めて笑う。
「俺たちが行けるのってせいぜい最寄りの海程度だよなって、あー俺って無力だって思ってたけどさ。お前は仙台まで来たんだ。すごいよ、亜季」
原くんがそう言って、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「それは、私が原くんのこと大好きだから……だよ?」
大好きだって伝えるのは初めてじゃないけれど、とても緊張した。
胸の奥がばくばくと音を立てる。
そして改めて、私は原くんのことが大好きなんだと思い知らされた。