だから今度は、私がきみを救う番
「ありがとな」
原くんは私に礼を言うと、真っ直ぐに海を見た。
私もそうする。
波の音が、ざあざあと直に届いた。
「……原くん、叫ぼうよ」
私は、黄金に染まる海を見ながら続けた。
「抱えてるものぜんぶ、ここで叫んじゃお? あの時みたいに」
「……じゃ、亜季が聞いててくれる?」
「うん」
原くんは海の向こうを見ながら、口元に手を当てた。
声がよく響くように、手のひらを頬にくっつける。
彼の端正な顔の、その眉間に皺が寄った。