だから今度は、私がきみを救う番
「父ちゃんー! 母ちゃんー! なんで俺のこと置いてったんだよ! そんなに兄ちゃんの方が大事か!?」
「その調子! もっと言って!」
「さすがにそれはねぇよ、って思ったよ! 小さい頃からほったらかしてた上に、置いていくのかよって思ったよ!」
「もっと叫んじゃえ!」
「父ちゃんと母ちゃんのばーか!」
原くんの顔が、ぐぐっとゆがむ。
後ろから吹きつける風が、私たちの背中を押した。
「兄ちゃーん! 早く元気になれよ! おれ、兄ちゃんともっと遊びたいんだよ! だから、元気になってくれよなー!」
お兄さんに対する想いを、初めて聞いた。
そうだよね、兄弟だもの。もっと近くにいたいよね。
私にもお姉ちゃんがいるから、その気持ちは分かる気がする。