だから今度は、私がきみを救う番

「佐知さんなぁ、好きな男が出来たら、追いかけるんやぞ」

「え？」

「じーっとしとったら、そのまんま会えんことなる」



おばあちゃんは時々、わけの分からない話をしてくる。

お父さんが言うに、昔話をしているらしい。



おばあちゃんは昔好き合った人がいたけれど、お互い決められた相手がいて、その人と一緒になることは叶わなかったと聞いたことがある。

きっと、そのことを話しているんだろう。



「なーんもせんで突っ立ってても、時間は待たん。流されて終わるだけじゃ」

「うん」

「だから、好きな男が出来たら追いかけるんやぞ」

「うん」

「あれ？　あんたは佐知さんだったかな？　悦子やと思っとったわ」



私が適当に相槌を打っていると、おばあちゃんがそう言った。

どうやら今度は、叔母さんと私を間違えているらしい。