だから今度は、私がきみを救う番



「私は亜季だよ」



ふうっと溜め息をついて、おばあちゃんの部屋を後にする。

そろそろ夕飯を作るか、買いに行くかしなきゃならない。


おばあちゃんの部屋から出てくると、玄関がガチャリと開くのが目に入った。

スーツ姿のお父さんが、ドアを開けて入ってくる。



「ただいま」

「お父さん。おかえり。珍しいね、こんな早い時間に」

「今日は出先からそのまま帰ってきたんだ」



お父さんはそう言ったところで、玄関に置かれたギラギラのスニーカーを見て顔色を変えた。



「恵理、帰ってるのか」



恵理とはお姉ちゃんのことだ。

私がうんと答える暇もなく、険しい表情になったお父さんが部屋に上がってくる。



どすどすと足音を立てて、リビングのドアをバンっと開いた。
< 38 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop