だから今度は、私がきみを救う番

あさがお五組には私たちの他に一年生が二人と、三年生が一人いるはずだけど、

今週に入ってからは私と原くんの二人きり。

いや、先週もそうだったっけ。

一学期も終わりに近づいているというのに、そういう日ばかりが続く。



まるで、ふたりっきりのクラスメイト。

国数英理社、基本の五教科をこのあさがお五組で受けている私たちは、いつも揃って隣にいる。



「はーい、国語の授業を始めます。高屋さん、号令お願い」



教室に入ってきた山中先生の声に従って、私は「きりーつ」と小さく呟く。

どれだけ小さな声でも、教師ひとりと生徒ふたりの教室には響き渡るもので。

原くんがけだるそうに立ち上がるのを確認してからの「れい」。

そう小さくこぼしたら、原くんはぺこりと頭を下げて、それからまた机に突っ伏した。



一年生の頃は、こんなんじゃなかったんだ。

私も、原くんも。
< 4 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop