だから今度は、私がきみを救う番
「お父さんがそんなんだからお母さんどっか行っちゃうんだよ!」
「親に向かってその口の聞き方は何だ!」
耳を塞ぐようにして、自分の部屋へと逃げる。
お腹の奥がしくしくと痛んでつらい。
二人の罵り合いが聞こえないように、イヤホンを耳に押し込んだ。
スマホのBluetoothをオンにして、音楽をジャカジャカと流す。
聞きたくない。
何も聞こえなくていい。
あれを聞くくらいなら、耳が聞こえなくなっちゃえばいいのに。
今の私には、今日の恋を思い出す余裕もない。
「原くん……」
さっきバイバイしたばかりなのに、もう会いたいな、って思った。
ベッドの上に寝転がり、両手で目を覆う。
『……高屋、楽しいことしようぜ。もうすぐ夏休みじゃん?』
夏休み、早く来るといいな。
原くんのことを考えながら、そっと目を瞑った。