だから今度は、私がきみを救う番








今日は、二時間目の体育以外は基本の五教科だったので、私たちはそろって『あさがお五組』の教室にいた。



今日もやっぱりふたりきりの教室。

体育のあとの数学は眠くてしょうがない。



昨日の美術の時間のあと、いつもよりも授業を真面目に聞いていた原くん。

今日は『不良の原くん』の時間が多くって、また身体を突っ伏している。



けれども休み時間には「たーかや!」なんて言って、また一年生の時の顔に戻るんだけど。



原くんってもしかして、二人いるのかな。

そんなことを考えちゃうくらい、『不良の原くん』と『一年生の時と同じ原くん』は違う顔をしている。



昨日、何が原くんを元に戻したんだろう。

私のノートを拾ってくれた時からだから、やっぱり私が何かのきっかけになったのかな。



突っ伏せたままの原くんをちらりと見てから、方程式を解く。

悩みごとや考え事だって、数学みたいに答えが決まっていたらどんなにいいだろう。

そんな、あり得ないことを考えながらシャーペンをくるりと回した。
< 46 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop