だから今度は、私がきみを救う番
◇
今日は、二時間目の体育以外は基本の五教科だったので、私たちはそろって『あさがお五組』の教室にいた。
今日もやっぱりふたりきりの教室。
体育のあとの数学は眠くてしょうがない。
昨日の美術の時間のあと、いつもよりも授業を真面目に聞いていた原くん。
今日は『不良の原くん』の時間が多くって、また身体を突っ伏している。
けれども休み時間には「たーかや!」なんて言って、また一年生の時の顔に戻るんだけど。
原くんってもしかして、二人いるのかな。
そんなことを考えちゃうくらい、『不良の原くん』と『一年生の時と同じ原くん』は違う顔をしている。
昨日、何が原くんを元に戻したんだろう。
私のノートを拾ってくれた時からだから、やっぱり私が何かのきっかけになったのかな。
突っ伏せたままの原くんをちらりと見てから、方程式を解く。
悩みごとや考え事だって、数学みたいに答えが決まっていたらどんなにいいだろう。
そんな、あり得ないことを考えながらシャーペンをくるりと回した。