だから今度は、私がきみを救う番
原くんに腕を引っ張られて、土手道の方へと戻る。



ふたりでしばらく土手道を歩いて、学校とうちの中間地点辺りの階段を下り、住宅街へと入っていった。

市立図書館のある辺りだ。



小学校の頃の校区を抜けてすぐの場所だけど、この辺りにはあまり来たことがない。

図書館に来る時くらいだ。


原くんのあとをついて、細い路地を進む。

焼けたアスファルトに誰かが水を撒いたらしく、雨上がりのような匂いが漂っている。



「おじゃましまーす」



図書館の裏手にある小さな路地を入ってすぐの、古びた二階建てのアパート。

その一階の角の部屋の扉を、原くんが躊躇なく開ける。


ここが、先輩の家なのだろうか。

呼び鈴とか、押さなくていいのかな。


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