だから今度は、私がきみを救う番
夕方四時を過ぎると、浴衣を持って行きつけの美容院へと向かった。
去年まではおばあちゃんが着付けをしてくれていたけど、今年はそれが出来ない。
お母さんもいない。
去年一緒に花火大会行ったのは、テニス部の仲間たちだった。
その仲間とももう疎遠だ。
でも今年は彼氏がいる。
一年前とは随分違う状況だなって、時間の流れを怖く感じた。
去年は、こんな楽しい日々がいつまでも続けばいいなって思ってたっけ。
それが冬にはお母さんが出ていって、おばあちゃんが倒れて。
あっという間に状況は変わってしまった。
でも今は、原くんがいる。
原くんと付き合いはじめてから、私の世界はまた色づいた。
けれどもまたそれを失う時が来るかもしれないと思うと、私の心はぎゅっと縮こまる。
怖いから、考えないようにしようと思った。
今日は、原くんとふたりで花火大会に行くのだから。