だから今度は、私がきみを救う番



その瞬間。



ばーん、と夜空に大輪の花。



りんご飴と同じ赤、原くんが食べているかき氷と同じ緑、私のかき氷と同じブルー。

黄色に、ピンク。

様々な色の花が夜空に咲いて、真っ暗闇だった空間を埋め尽くす。



真っ暗闇だった私の心に、突然咲いた原くんの笑顔みたいだ。

大きな音を上げて、その存在を主張する花火たち。



うっとりと見とれていると、原くんに手を握られた。

ふっと隣を見上げると、照れくさそうに私の方を見る原くんの顔があった。



照明は消えてしまったけれど、花火のおかげで彼の整った顔がよく見える。



睫毛、長いんだなあ。

眉毛、綺麗な形だなあ。鼻が高いんだなあ。

唇は思ったよりも小さいんだな。

それから、髪はちょっとパサついてる。



つい原くんの顔を観察してしまう私。

原くんは頬を赤く染めて、私の耳元に唇を寄せた。


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