だから今度は、私がきみを救う番
原くんはこの前と同じように玄関を開けると、「タッくん、バケツある?」と叫んだ。

奥から「おう、持ってけー!」と聞こえて、原くんが「ありがとう」とお礼を言う。



私は駐輪場で待っていた。

ここに置かせてもらっていたのか、花火のパックをふたつとバケツを抱えて、原くんが戻ってきた。



「じゃーん。準備してたんだ」

「すごい……」

「ロケット花火もあるよ」



原くんが花火を自転車のカゴに入れて、バケツを右のハンドルに引っ掛ける。

後ろに乗るように促されて、私は荷台の上に横向きに腰をかけた。



浴衣で二人乗りなんて初めてだから、バランスを取るのがちょっと難しい。

原くんがゆっくりと自転車をこぎ始めたので、私はお腹に力を入れて頑張ってバランスを取った。


少し進むと慣れてきて、右の頬を原くんの背中にくっつけるくらいの余裕が出てくる。

原くんは私に気を遣ってなのか、土手の下の平坦な道を選んで進んでくれた。


< 87 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop