だから今度は、私がきみを救う番
私たちの住む街は河口にあるので、川沿いを走っていけば海にたどり着く。

いつも帰ってる河川敷も時々潮の匂いがするし、淡水と海水が混じってるって聞いたことがあった。



しばらく土手沿いを進むと、潮の匂いが濃くなってきた。

原くんの足が、自転車のペダルをぐるぐると回す。

少し速度が速くなる。

潮風が原くんの金髪を揺らして、私の頬をべたつかせた。



もう少し進むと港に着いて、さらにその向こうへと進んでいく。

人があまり来ない、昔使われていた『旧港』だ。



奥の方に昔の港があると聞いたことがあったけど、実際に来るのは初めてだ。



原くんは旧港に着くと、自転車から片足を降ろしてブレーキを握った。

キキ―っと自転車が止まって、その拍子に私の身体が原くんにぶつかる。

身体の右側全体がぶつかったから良かったけど、左側だったら胸の音伝わってたかもなって思った。


< 88 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop