だから今度は、私がきみを救う番



「さあ着いた」

「ここって、昔の港?」

「うん。人あんま来ないし。近所迷惑にもならないから」



原くんはにこりと笑うと、自転車を止めて、花火とバケツを手に持った。

私も自転車から降りて、浴衣の裾を正す。



原くんは海面へと続くコンクリートの階段を降りて、海水をざばっと掬って戻ってきた。

ここには何度か来たことがあるのかな。

先輩たちと来たのかな。



「ここ、タッくんたちとも花火したことあるんだけど」

「そうなんだ」

「でも、好きな子とふたりだと全然違うね」

「違う?」

「もっと楽しいってこと」


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