だから今度は、私がきみを救う番
きみの抱えているもの
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夏休みの学校は、いつもより静かで不思議な雰囲気がする。
校庭では各部活動がスポーツに勤しんでいるけれど、一歩校舎に踏み入ると、途端に静けさが広がってくる。
窓の向こうに目をやると、テニスコートにかつてのチームメイトたちの姿を見つけた。
お母さんがいなくならなければ、おばあちゃんが倒れなければ、私も今頃あそこにいたのだろうか。
視線を戻すと、お父さんが隣を歩いているのが目に入った。
今日は、三者面談ならぬ四者面談の日だ。
お父さん、白髪が増えたなあって思う。
お姉ちゃんは花火大会の次の日、昼間に少しだけ帰ってきた。
よほどお父さんに会いたくないようで、シャワーを浴びるとすぐ出ていったけど。
普段は忙しいお父さんだけど、今日は私のために休みを取ってくれた。
お母さんがいた頃は、私たちに関わることはぜんぶお母さん任せだったお父さん。
でも最近はこうして時間を作ってくれる。
私が胃腸の調子を崩しはじめた頃も、いっしょに病院に来てくれた。