「私の為に、死んでくれませんか?」 ~君が私にキスしない理由~
(どうしたの?もう本当すげぇー長いスーパー長いうんちでもしてるの?!)
私は居ても立っても居られず、スマホで時間を確認した。もうとっくに予想時刻は過ぎていて、いつ営業対象が現れてもおかしくない。
(もしかしたら下痢とかで、服が汚れて困っているの?私が探しに行くべき?いや、探しに行ってズボンとか汚してたらどうすればいいの?)
先輩が付いてくると聞いたときは心強かったのに、まさかこんなことになるとはー!イライラと心配が混ざり、もうこれ以上待てない、探しに行くー!と思って立ち上がったその瞬間。
ードン!
向こうから聞こえた大きい音に、私はそのまま地面に座り込んでしまった。何、何か起きたの?慌てて何もできない私の耳に、さっきの音がもう一回聞こえた。そして…
「おい、起きろ」
男性の声が聞こえる。相手は口を封じられているようで、きちんと喋れずただ呻くだけだった。私は息を殺し、体をかがめたまま木の陰に隠れた。茂みの向こうに、成人の男性が二人、そしてロープで体を捕縛され、テープで口を封じられている少年が見えた。私は一目でその人が今回の営業対象であることが分かった。
「ううー!!!ううううう!!!」
少年が激しく暴れるが、そのたび男たちに容赦なく蹴られる。一発、二発、そしてもう少し力を込め三発。蹴られる度に少年の体は激しく震え、三回目蹴られたときは完全に曲がり、そのまま地面にぶっ倒れた。苦しさで呻き声が口を封じたテープの隙間から漏れてくる。私はまるで自分も同じくお腹を蹴られるような気分になり、きちんと見守ることができず視線をそらしてしまった。しかし視線をそらしても、耳に入ってくる彼らの会話まで止めることはできなかった。
「は、さすがあの女の息子だな。気持ち悪いんだよ、俺に抵抗するその目が」
「うう…」
「俺もさ、お前のこと結構可愛がっていたんだぞ?入籍したらちゃんと息子として受け入れるつもりだったのにさ、こんな優しい俺の気持ちをうらぎりやがって。俺から逃げられると思ったか、はあ?」
「全くですよ、兄貴。恩も知らない女にはきちんと罰を与えないと。はあ、これだから言ったじゃないですか。尻の軽い女は困るって」
彼らの会話を聞いて、なんとなく事情は分かった。あの背の高い男が少年のお母さんと恋仲だったけど、途中でお母さんの方から別れを申し込んだ。その恨みで、相手の息子を殺そうとしている…。背の小さい方は男の知り合いとかなんとかで、少年をここまで運ぶのを手伝ったのだろう。
(ガラの悪い男に関わって、可哀想に…)
ビリビリとテープが剥がれる音がして、少年が「ぷはっー!」と苦しそうな息を吐く。その声に私はまた視線を戻し、少年の状態を確認した。口に貼ってあったテープを乱暴に剥がした背の高い男が今度は少年の顔を叩く。静かな夜に何度も広がるビンタの音、それをただ見ることしかできない私。この苦しい時間がいつまで続くんだろうか、私は今にも爆発しそうな心臓を抑えるのに必死だった。
「おい、よく聞け」
少年を思いっきり叩いていた背の高い方が悪笑みを見せる。やつは少年の髪の毛を握り、そのまま上へ持ち上げた。流れる血のせいで少年は目を開けることさえ辛そうに見えた。
「俺、お前の母ちゃん愛しているんだぜ。だからお前から言えよ、俺と仲直りしてほしいって。どうせ誰にでも足広げるんだろ?だったら俺でも構わないじゃん」
「……」
「どう?だったらお前を生かしてあげるよ。いい考えだろ?みんなハッピーになるんだぜ」
私は居ても立っても居られず、スマホで時間を確認した。もうとっくに予想時刻は過ぎていて、いつ営業対象が現れてもおかしくない。
(もしかしたら下痢とかで、服が汚れて困っているの?私が探しに行くべき?いや、探しに行ってズボンとか汚してたらどうすればいいの?)
先輩が付いてくると聞いたときは心強かったのに、まさかこんなことになるとはー!イライラと心配が混ざり、もうこれ以上待てない、探しに行くー!と思って立ち上がったその瞬間。
ードン!
向こうから聞こえた大きい音に、私はそのまま地面に座り込んでしまった。何、何か起きたの?慌てて何もできない私の耳に、さっきの音がもう一回聞こえた。そして…
「おい、起きろ」
男性の声が聞こえる。相手は口を封じられているようで、きちんと喋れずただ呻くだけだった。私は息を殺し、体をかがめたまま木の陰に隠れた。茂みの向こうに、成人の男性が二人、そしてロープで体を捕縛され、テープで口を封じられている少年が見えた。私は一目でその人が今回の営業対象であることが分かった。
「ううー!!!ううううう!!!」
少年が激しく暴れるが、そのたび男たちに容赦なく蹴られる。一発、二発、そしてもう少し力を込め三発。蹴られる度に少年の体は激しく震え、三回目蹴られたときは完全に曲がり、そのまま地面にぶっ倒れた。苦しさで呻き声が口を封じたテープの隙間から漏れてくる。私はまるで自分も同じくお腹を蹴られるような気分になり、きちんと見守ることができず視線をそらしてしまった。しかし視線をそらしても、耳に入ってくる彼らの会話まで止めることはできなかった。
「は、さすがあの女の息子だな。気持ち悪いんだよ、俺に抵抗するその目が」
「うう…」
「俺もさ、お前のこと結構可愛がっていたんだぞ?入籍したらちゃんと息子として受け入れるつもりだったのにさ、こんな優しい俺の気持ちをうらぎりやがって。俺から逃げられると思ったか、はあ?」
「全くですよ、兄貴。恩も知らない女にはきちんと罰を与えないと。はあ、これだから言ったじゃないですか。尻の軽い女は困るって」
彼らの会話を聞いて、なんとなく事情は分かった。あの背の高い男が少年のお母さんと恋仲だったけど、途中でお母さんの方から別れを申し込んだ。その恨みで、相手の息子を殺そうとしている…。背の小さい方は男の知り合いとかなんとかで、少年をここまで運ぶのを手伝ったのだろう。
(ガラの悪い男に関わって、可哀想に…)
ビリビリとテープが剥がれる音がして、少年が「ぷはっー!」と苦しそうな息を吐く。その声に私はまた視線を戻し、少年の状態を確認した。口に貼ってあったテープを乱暴に剥がした背の高い男が今度は少年の顔を叩く。静かな夜に何度も広がるビンタの音、それをただ見ることしかできない私。この苦しい時間がいつまで続くんだろうか、私は今にも爆発しそうな心臓を抑えるのに必死だった。
「おい、よく聞け」
少年を思いっきり叩いていた背の高い方が悪笑みを見せる。やつは少年の髪の毛を握り、そのまま上へ持ち上げた。流れる血のせいで少年は目を開けることさえ辛そうに見えた。
「俺、お前の母ちゃん愛しているんだぜ。だからお前から言えよ、俺と仲直りしてほしいって。どうせ誰にでも足広げるんだろ?だったら俺でも構わないじゃん」
「……」
「どう?だったらお前を生かしてあげるよ。いい考えだろ?みんなハッピーになるんだぜ」