「私の為に、死んでくれませんか?」 ~君が私にキスしない理由~
「利映、手が止まってる。動かして」

「…あっ…はあ…はぁ…」


お互いを触る手の動きがもっと激しくなる。頭の中が真っ白になっていく中、黄泉さんが私の両脚を上げる。そして、そのままー体を密着し、ゆっくりと私の中へ入ってきた。何度味わっても、不思議で、そして人を狂わせるその感覚。

やっと中へ全部入ったと思ったら、休む暇もなく、黄泉さんが体を動かす。ああ、ダメ、挿れられた瞬間もういってしまいそうー!私はただ彼の首に手を回し、涙目でお願いした。



「お願い、黄泉さん、キス…キスして…」

「はぁ、はあ…ダメ。キスはしないって、言っただろ?」

「なんで?キスして…ああ… おね、がい…キス…」

「全く、君は…どこまで可愛くなるのか…」



いくらおねだりしても、黄泉さんは今やっている行為を繰り返すだけで、決して唇をくれない。何度もお願いをしていた私も、徐々に口を閉じ、そのリズムに合わせ腰を動かすようになり、やがてー


「はあ…そろそろいくぞ、利映…」

「あ、ああ…あっ、私も…いっ、く…ああ…!」

「はあ…あ…!!」


鋭い感覚が全身を襲ったあと、私達は絡まっていた体を離した。お互い熱をすぐ冷ますことはできず、息を切らしてお互いを見つめ合った。まだ炎が消えていない瞳で私を見つめていた黄泉さんが、そっと私の髪の毛を撫でる。


「君とはもう結構寝てるけど…未だに飽きない」

「…いずれは飽きるんですか?」

「500年くらい抱いたら、そうなるかも」


なにそれ、冗談のつもり?私がくすくす笑うと、黄泉さんも一緒に笑った。誤魔化すような気もしたけど、この空気を壊したくなかった。

「もう一眠りします?」

私の言葉に、黄泉さんが再び私の隣へ体を下ろした。そして私をギュッと抱きしめ、頬に手を当てる。気持ち良い感覚で私は目を閉じ、深く息を吸った。心を安心させる肌の匂いに包まれ、私は深く息を吸った。

慣れた温もり、慣れた匂い。そしてそこにとても安心感を覚える私。
とても幸せな感覚だけど、ただ一つだけー


「…どうして、私にキスしないんですか?」


返事は帰ってこない。もう寝たのか、それとも寝たふりをしているのか。
どんどん朦朧としていく意識の中、黄泉さんの声が聞こえた気がした。


「…おやすみ、利映」


ー私は、あなたとキスしたいと思っているのに。

未だに解決できていないその疑問を抱いたまま、私は深い眠りについた。













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