謎解きキッチンカー
「……今日は藤田さんの探し物を見つけませんか?」


ずっと胸に引っかかっていた思いを口に出した。


心臓はドキドキとはねているし、緊張で背中に汗が流れた。


藤田さんの探し物が見つかることで、二人の関係が変わってしまうかもしれない。


それでも、もう藤田さんに悲しそうな顔はしてほしくなかった。


「俺の探し物?」


藤田さんは目を見開いて香織を見つめる。
 

香織は大きくうなづいた。


「今日も広場で探していたじゃないですか。でもたぶん、あんなところに藤田さんの探し物はないと思います」
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