謎解きキッチンカー
だって、藤田さんの探し物は女性だと思うから。


中腰じゃないと入れないような茂みの中にいるとは思えない。


藤田さんは図星を突かれたという様子で香織から視線を外した。



「そっか、香織ちゃんはもうそんなところまで気がついてたんだな」


香織は唇を引き結んで大きくうなづく。


「俺も、あそこにアイツはいないだろうってわかってた。それでも探さずにはいられなかったんだ。万が一っていう可能性もあるから」


それはきっと藤田さんがその女性のことをすごく好きだからだ。


可能性がゼロじゃないから探さずにはいられなくなったんだと思う。


「香織ちゃんは、アイツがどこにいるかわかるか?」


途端に身を乗り出すようにして質問されたので、香織は視線を大学生のキッチンカーへ向けていた。


夕方頃はカレーも大盛況だったけれど、今はお客さんの姿がない。


大学生たちに話を聞くなら今のうちだ。
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