謎解きキッチンカー
香織は一緒になって頭を下げた。今までしたことがないくらい、深く。


「あんたにキッズスマホを持たせておいて本当によかったわ。位置情報を確認できたから、こんなに早く見つけることができたのよ」


ホッとした様子で母親が呟く。
 


そういえばスマホを持っていたんだった。



いろいろなことがあって気が動転していたから、すっかり忘れてしまっていた。


自分から連絡を取っていればこれほど心配や迷惑をかけることもなかったのに。


香織はまたうなだれて「ごめんなさい」と、呟くように言う。


「香織ちゃんが元気でよかったよね」


「うん。でもケガしてるから、早く手当てしなきゃ」


彩香ちゃんと玲美ちゃんの言葉にまた泣きそうになった。
 

みんな香織のしたことを迷惑だなんて思っていないみたいだ。


いつもどおり優しい二人に香織は泣き笑いを笑顔を浮かべた。
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