謎解きキッチンカー
「さ、お父さんがおんぶしてやるから、家に帰ろう」


「うん……」


父親の背かなに乗る寸前、香織は藤田さんへ視線を向けた。


藤田さんは困ったような表情で笑っている。

「あのね、お父さん」


「どうした?」


「藤田さんなんだけどね、とってもいい人だから。私が勝手に、嘘をついてお手伝いしただけだから」


子供をキッチンカーに乗せ、手伝いをさせていた。


それはきっと許されないことだったと思う。


藤田さんがいい人でなければ、香織は今ごろどうなっていたかもわからないのだから。


「うん。話は全部聞いたし、お母さんと二人で香織の絵日記を見せてもらったよ」


「あれ、見たの!?」

< 120 / 138 >

この作品をシェア

pagetop