謎解きキッチンカー
香織は母親の言葉を途中まで聞いて返事をし、また玄関まで駆け出した。

そのまま外へ飛び出そうとして思いとどまり、ピンク色の傘を掴んで外へ出た。


昨日はあれだけ沢山あった車が、今日は半分も埋まっていない。


キッチンカーの台数も少なくて、受付には誰の姿もなかった。


「やぁ、おはよう」


クレープ屋に近づくとお兄さんはすぐに香織に気がついてくれたけれど、香織は周囲を見回して唖然としていた。


昨日あれだけ並んでいた列が、今日はスッカリなくなってしまっていたのだ。


並んでいたお姉さんたちはお兄さん目的で来ていると思っていたから、なんだか香織は腹が立った。


「どうして誰も並んでないの」


お兄さんが悪いわけじゃないのに、ついキツイ口調になってしまった。
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