謎解きキッチンカー
お兄さんはキッチンカーから身を乗り出して空を見上げた。


黒い雲に覆われていて、今にも振り出してしまいそうだ。


すぐに帰ったほうがいいことはわかっていた。


だけどなぜか香織はその場から立ち去ることができない。


「昼からは、場所を変えようと思うんだ。大原キャンプ場って知ってる?」


お兄さんの言葉に香織は顔を上げ、うなづいた。


幼稚園の頃から何度も行っている場所だ。今年も家族で行く予定がある。


「あそこなら、天気はいいと思う。一緒に行く?」


「えっ」


香織は目を見開いてお兄さんを見た。そして何度もうなづく。


「行きたい!!」


「ははっ。じゃあ、一旦家に戻って、親に許可をもらってこないとね?」


「わかった! すぐに戻ってくるから、ここで待っててね!」
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