謎解きキッチンカー
「キッチンカーってそんなに安いものじゃないでしょう? このくらい持っていかないと、何も食べられないわよ?」


そう言われて瞬間、自分がとんでもない場所へ行こうとしているのではないかと胸が高鳴った。


同時に不安が遅いかかってくる。


さっき自分の部屋で偶然見たチラシ。


そこには近所の広場でキッチンカーが集まってマルシェをすると書いてあった。


おいしそうなクレープやイチゴ飴、スムージーのキッチンカーの写真が沢山載っていたのだ。


いつも友達と遊んでいる広間が、今日はきっと様変わりしている。


それを見て見たいと思ったのだ。


「じゃあ、えっと……」


五百円玉二枚を握り締めてモジモジと床を見つめる。


このまま行ってしまっていいのかどうか、途端にわからなくなった。


だって、千円もくれるとは思っていなかったから。


「はい、行ってらっしゃい。そうだ。今日のキッチンカーのこと、夏休みの絵日記に書けるわね?」
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