謎解きキッチンカー
香織はいろんな想像を膨らまして砂場へ向かった。


トンネルつきの山がひとつあって、その周辺にはプラスチックのスコップやバケツが転がっている。


どのオモチャにもキャンプ場の名前が書かれていた。


「う~ん、ないねぇ」


ためしに山を崩して中を確認してみたけれど、ぬいぐるみを見つけることはできなかった。


「ミミちゃん、どこ行っちゃったの」


リリの目に再び涙が滲んできた。


「ぬいぐるみ、ミミちゃんって言うの?」


リリはこくんとうなづく。


「あの、もういいわよ。お気に入りのぬいぐるみだったから、ずっと持ち歩いていたの。いつか無くすって注意してもやめなかったから」


母親がため息混じりに言う。
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