謎解きキッチンカー
それを聞いた母親の目が更に釣りあがっていき、香織は全身が冷たくなるのを感じた。


「わ、わかった。宿題をやってから行くよ」


すぐに笑顔を作り、母親へ向けてそう言った。


これ以上怒らせると遊びに行かせてもらえなくなるかもしれない。


香織は大慌てで靴を脱ぎ、自室へとかけ戻ったのだった。


「あ~あ、今日は朝からお手伝いできると思ったのになぁ」
しぶしぶ勉強机に座った香織は原稿用紙を前にして多きなため息を吐き出した。


昨日読んだ本の読書感想文を書くのだ。


「こうなったら、読書感想文を早く終わらせてお手伝いに行くしかない!」


作文は苦手な香織だったけれど、藤田さんとキッチンカーでクレープを作ることを思い浮かべてペンを握り締めたのだった。
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