謎解きキッチンカー
「全然待っていません!」


どこかのドラマで聞いたようなセリフを言うと、藤田さんは愉快そうに笑った。


「とにかく助手席に乗って。俺はちょっと探しもの」


「探し物ってなんですか? 私、手伝います!」


さっそくお手伝いだ!と、思って意気込んだものの、藤田さんは笑顔でそれを制した。


「ありがとう、でも大丈夫だよ」


「どうしてですか? 二人で探したほうが早いですよね?」


首をかしげて聞くと、藤田さんは少し寂しそうに目を伏せた。
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