謎解きキッチンカー
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朝の九時くらいから海水浴客たちが増え始めて、十時頃にはキッチンカーに並ぶ人も多くなってきていた。
太陽は大地を照らして人々を海へと駆り立てる。
しかし、潮しぶきをあげながら泳ぐ人たちを見ている余裕はなかった。
このビーチは女性客が多いようで、さっきからひっきりなしにお客さんが声をかけてくる。
「香織ちゃん、次はバナナね」
「はい!」
お客さんがいない間に格フルーツの切り方を教えてもらった香織はすぐに冷蔵庫からバナナを取り出した。
その間にお兄さんは手馴れた様子で生地を焼き、クリームをのせていく。
薄い生地の上に乗る生クリームは真夏の入道雲みたいだ。
「バナナです」
「ありがとう」