謎解きキッチンカー
残り二人のお客さんはすでにカットしたフルーツで足りるようで、香織は藤田さんにそれを差し出すだけで済んだ。


「今日も大盛況ですね!」


「香織ちゃんのおかげかな」


ようやく座ることのできた藤田さんも、額に浮かんだ汗をぬぐう。


「そ、そんなことないですよ」


慌てて否定するものの、悪い気はしなくて自然と頬が緩んでしまう。


藤田さんは冷蔵庫からサイダーのビンを二本取り出すと、一本を香織のために開けてくれた。


カラカラに乾いた喉を取っていく炭酸がたまらなくおいしい。


爽やかな甘さが香りを生き返らせていくようだった。
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